に有効であるか、その中のいくつかをご紹介しますと、例えば、消防飛行艇です。海を滑走しながら海水を貯め込んで、それを火災現場の上にまいてしまう。これはカナダが山火事で開発したので、都市部では使うのにいろいろ問題があるのですが、またすぐ返ってきて海面を走りながら、海水を取るというものでございます。
それから、阪神・淡路大震災のとき一番困ったのは水なんです。真水がないと人間は生きていけません。いくら海水がたくさんあってもだめなのです。病院などは、最低患者一人当たり一日二百リットルの水がないと一切の機能が停止します。水道管がやられて復旧するまでに、関西の場合は六十日かかりました。例えば海水から淡水化技術がいま非常に進歩しまして一トン大体百十数円で真水がとれます。そういうものを海岸に何個所か設置しておけば、緊急時に十分対応できるというような新しい海の利用法があります。
あるいは浮体工法といいまして航行場なんかも今は水に浮かせて造れるのですね。発電所も、工場もそういう形で造ると、陸上の土地は使わない、必要がなくなれば工場ごと東南アジアの必要な方々にさし上げるというようなアイデアもありますし、あるいはもっと大胆不敵なのは、海水で米を育てようという研究がアメリカでいま進んでおります。
そういうように海というものの利用は、これから技術開発によって非常に進んでくるだろうと思われます。ただその場合の海水というのは、ゴミが浮いていたり、油があったり、オイルボールがあったりしないということが前提になりますので、そういう意味で環境保全と技術というものは、システム的に解決していかなければいけないのじゃないか、そこを乗り切ることができれば海の利用というのは技術開発によって、ますます広がるだろうと考えております。

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海洋レジャーと海洋文化
吉村 いま泉さんがお話になった災害救助の際の海の可能性については、大変重要なお話なんで、後程もう一度触れさせていただきたいと思います。また、技術の革新によって海の可能性というものは、今後もますます広がっていくように思われるわけなんですが、そうした海に対する私たちの意識あるいは接し方というのは、一体どのように変わってきたのか、この点の海洋レジャーについての映像をまとめてあるのでご覧ください。
−映像−
吉村 南波さん、アメリカの教科書だと思うのですが「シーマンシップ」という本がありまして、シーマンシップという言葉は、どういう言葉かなと思い読んでみましたら、シーマンシップというのは「すべての場所で、またすべての状況のもとで、船舶・船艇を航行、操縦、保持する技術」というふうに定義されていました。シーマンシップというと、何か海の男のど根性とか、危険をかえりみずとかという感じで私は受けとっていたのですが、別物であることがわかりました。シーマンとして今の映像をご覧になっていろいろご意見あると思いますが、いかがでしようか。
南波 海で遊ぶスポーツというのは、道具(舟)を使うスポーツということで、ほかの何でもそうなんですが責任感といいますか、自分がいつでも好きなときに、好きな所の海に行きたいと思えば、いつも自分の要具を常にいい状態にしておかなければいけないということです。そして自分が買ってきたものとか、自分が作ったものに愛着を持って責任を持つということですね。とてもバランスのとれたスポーツだと思っています。

 

 

 

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